日本酒ライターってなに?わたしが日本酒専門ライターになったわけその3(完結編)

日本酒ライターってなに?わたしが日本酒専門ライターになったわけその3(完結編)

日本酒専門ライター

あらゆる酒を片っ端から飲んでいた頃の『その1』、日本酒のおいしさに目覚め「わたしでも好きに語っていいんだ!?」と気がついた『その2』。そして今回、いよいよ日本酒ライターとして、のめり込んだ日本酒を仕事にし始めるキッカケのおはなしです。

人生を変えた、はじめての酒蔵見学

その後飲み歩き、知り合いの飲食店の酒仕入代行のために酒屋廻りをするなど続けている中で、知り合いの方に「蔵の見学に行ってみませんか?」と声をかけてもらいました。このとき訪れたのは、長野県で「笹の誉」「九郎右衛門」「今錦」「仙醸」「井の頭」というお酒を造っている5つの酒蔵。どこも観光用として開放しておらず、簡単に見学ができる場所ではありません。翌朝早くから製造作業体験をさせてもらうことになっていたこともあり、蔵人さんたちの休憩スペースに雑魚寝で寝泊まりさせていただいたくらい(笑)
でも、それがわたしにとっては最高の記憶となりました。印象に残ったのは「蔵が自然の中に存在すること」「水、米、造り方どれをとっても蔵ごとの違いがあり唯一無二であること」「想像を絶するほどの手作業・手間がかけられて、酒は完成すること」。教科書の文字からは味わうことのできない実体験を通して、決して大げさではなく『この伝統は絶対に日本に遺さなくてはならないのだ』と雷に貫かれたような衝撃を受けました。

日本酒barでの二足目のわらじ

新卒で勤めていた会社の社長が「お金をもらっている以上はプロなんだぞ。その自覚を持ちなさい」と。その言葉が心に残って、「あ、そうか。お金をもらわないとプロじゃないのか」と、大ざっぱに解釈していたわたしは、OLを続けながら神田にある日本酒barで副業を始めます。ここで、おじさま世代の方が「日本酒は一気飲みさせられた記憶しかなくて…」という現状や、1人で自由に飲みに行けちゃう女性たちのフットワークの軽さ、好まれる日本酒の傾向なども学べたし、マスター、酒屋さん、蔵元さんたちからさまざまなことを吸収できました。
ベンチャー企業の経理人事と飲食業。決算や採用などの繁忙期はやりくりするのが大変だったけど、全く性質の違う2つの仕事を掛け持ちするのは、精神衛生上とっても良い結果を生みました。

「友美さん、書いてみませんか?」

日本酒専門ライター

その後、転職をキッカケに日本酒barを辞めていたわたしに「日本酒メディアを立ち上げたので書いてみないか?」というお誘いが。本が大好きで、図書館にいれば幸せで、いつも何か書いている子でしたが、他人様が読む“記事”を書くとなると話は別です。とても迷いました。それでも「1人でも多くの人に日本酒の素晴らしさ・楽しさが伝われば」と足を踏み入れ、いつしかこの仕事一本に心を決め、フリーランスとして開業しました。現在では執筆のみならず、自身がアイコンとなって、試飲イベント企画や酒蔵プロジェクトへの参加など新しい仕事を生み出しています。…というかそうじゃなきゃ食べていけないだけですけど(苦笑)正直恥ずかしくて読み返したくないブログや、続けてきたセルフブランディングは無駄じゃなかったのかなぁと、今だから思うのです。

やってみるまでわからない。やってみたって先がある

なにかやりたいことがある方は、最初から形やお金にならないかもしれないけど、何でもいいからもう一歩踏み出してやってみて欲しいです。「仕事にするほどのことじゃない」「私なんて無理」という相談(?)をよくされるけど、それは間違いです。会社内で「ここしか居場所がない」「今さら新しいことなんて」と自分を縛って視野を狭めるくらいなら、まず行動してみる。その結果、かえって会社での仕事に面白みを感じることだってあるでしょう。どちらにせよ、あなたのスキルを待っている場所や人がきっといます。最後まで読んでくれたあなたのお役に立てますように…。

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