学校でも職場でも教えてくれない!女性なら知っておくべき配偶者控除の基礎知識
2017年を目安に廃止、代わりに「夫婦控除」という制度を設けることが検討されて話題になった「配偶者控除」(※現時点では廃止見送りとのこと)。この制度について、きちんと理解していますか?シングルの方にとっては自分には関係ない、まだまだ先のことなんて、そのまま知らずにきているのではないでしょうか?「配偶者控除」は結婚を控えている人はもちろん、これから結婚を考えている人も知っておいて損はない制度。でも実際には学ぶ機会がなかなかなく、学校でも職場でも教えてくれない「配偶者控除」。そこで押さえておきたいポイントをまとめました。
そもそも配偶者控除ってなに?
一定の条件を満たした配偶者がいれば、納税者の所得から所得税38万円、住民税33万円の控除を受けられる制度のこと。わかりやすくいえば、納税者に収入が低く税金を納めることが難しい夫や妻がいるなら、税負担を軽くするよってことです。
◆一定の条件を満たした配偶者とは…
- (1)内縁や事実婚などではない婚姻届を提出した夫婦であること
- (2)納税者と生計をひとつにしていること(別居していても生活費などを共有していれば可)
- (3)合計所得金額が38万円以下(パートなど給与所得の場合、年収103万円以下)
- (4)納税者が経営する事業で配偶者が働いていないこと
ここで「?」となっちゃうのが、(3)の「合計所得金額」。何と何の合計?とか、なにそれおいしいの?って思うかもですが、後ほど解説しまーす。
たとえば納税者が夫だとしたら、パートをしている妻のお給料の合計が年間103万以下であれば、配偶者控除が受けられます(夫と妻の立場が反対でもOK)。金額は所得税なら38万円、住民税なら33万円。だけど、この金額がそのままどーんと納税額から引かれるわけではなく、実際に引かれる金額は各金額に所得税率と住民税率をかけたものになることをお忘れなく。(※所得税率20%なら38万円×20%=7万6,000円、住民税率は一律10%のため33万円×10%=3万3,000円)
なぜ年収103万円以下じゃないといけないの ?
では、ようやくここで(3)「合計所得金額が38万円以下」の解説に入ります!
一般的にお金を稼ぐためにはパートやアルバイトなどをして働いている人がほとんど。その会社や店舗から支払われる賃金は、税区分上「給与所得」となる給料です。しかし、年収がそのまま年間の給料合計額というわけではなく、年間の給料合計額から「給与所得控除」を差し引いた額になります。
「給与所得控除」とは、サラリーマンの必要経費ともいわれ、「給与所得」がある人(一般的には会社員)であれば、誰でも控除を受けられるもの。たとえば給与の収入金額180万円以下なら、給与所得控除の額は65万円と決まっています。これを年収103万円から差し引くと「年収103万円-給与所得控除65万円=所得金額38万円」で(3)の合計所得金額38万円以下を満たすことになり、配偶者控除を受けられます。
また所得税を計算する際に、総所得金額から誰でも無条件に差し引ける基礎控除というものがあります。この基礎控除額も38万円。したがって、所得金額38万円であれば基礎控除を差し引くと所得額は0円。妻がパートの給与収入で年収103万円以下であれば配偶者控除を受けられ、かつ所得税を払う必要もないのです。103万円のメリットは大きく、103万円の壁といわれるゆえんでしょう。
103万円を超えてしまったら…?
大丈夫。141万円までは減っちゃうけど…まだ「配偶者特別控除」というかたちで恩恵が受けられます。でも、その一方で130万円を超えちゃうと、今度はサラリーマンの旦那さんの扶養から外れ、自分で健康保険と年金などを払わなければならなくなるんです。あとついでに、年収が103万円を超えると、所得税が発生することも知っておいてソンはないかも。
今まではこの130万円という年収額に気をつけていればよかったのですが、平成28年10月より「勤務時間が週20時間以上」「1ケ月の賃金が8,8万円以上」「勤務時間が1年以上見込まれる」「勤務先の従業員が501人以上である」という要件にあてはまると、健康保険と年金保険が給与から差し引かれる(!)改正がなされています。
「配偶者控除」の代わりに導入検討されていた「夫婦控除」とは?
これらの制度改正が、どうやら女性の就労を妨げているとの指摘を受けて、平成29年度の「配偶者控除」の廃止を政府は見送ったようです。また、配偶者控除の対象である103万円の壁を150万円程度に引き上げる検討をしているそう。ところで「配偶者控除」の代わりに導入検討されていた「夫婦控除」とはいったいどういう制度なのでしょうか?実は「夫婦控除」の具体的な内容については、正確に明らかにされていません。ただ政府の方針としては、「配偶者控除」による節税が女性の社会進出を妨げていると考え、この制度を廃止し、配偶者の所得に関係なく夫婦の所得から一定額の控除をするものとして「夫婦控除」を新設しようとしていたようです。
まとめ
配偶者控除の廃止は先のことになりましたが、新制度の導入や改正がいつあるかわからないもの。今まであった制度をきちんと理解して、新しい制度と照らし合わせて損がないように利用したいものです。ただ、政府が女性の社会進出のためにさまざまな政策を打ち出すのはいいのですが、どれこれも打ち出した当初の通りにはいかず、浮世離れしている気がしてなりません。