今日の夜、あなたも遭遇するかも…残業中にあった怖い話
夏の醍醐味のひとつである怪談話。学生時代、自分の通っている学校の七不思議などを語り合ったりして盛り上がった方も多いのではないだろうか。しかし社会人になって、ことオフィス勤めともなると、なかなか怪談話をする機会も少なくなる。というよりも、すごくする人とまったくしなくなる人の二極化が進む。これはもったいないではないか。怪談といえば、日本の夏の風物詩だというのに。そこで今回は、オフィスで実際にあった怪談話をご紹介しよう。読み終わるころに、ひんやり涼を感じていただければ幸いである。
すりガラスからチラリと見える人影
小さな物置部屋があるデザイン事務所でのできごと。執務室は5名くらいがデスクをくっつけあって座れるこぢんまりとした空間で、物置部屋とはドア1枚をへだててつながっていた。ドアにはすりガラスがはめ込まれ、執務室からだと物置の中はぼんやりとしか見えない。そこに勤めていたクリエイターのAさんは納期に追われ、夜遅くまで残業続きの日々。
そんなある日、いつものようにひとり残って仕事をしていたら、物置部屋にふと人の気配を感じた。23時頃のことである。不思議に思って物置部屋の方を見るが、すりガラスの向こうに見える空間は非常灯の明かりで照らされて薄暗く、中のようすはよくわからない。「気のせいか」と、ふたたび仕事に集中しようとすると…ガタリ!今度は物音がする。「物置に誰かいる…?」と不安になり、おそるおそるドアを開けたAさん。しかし、中には誰もおらず、置かれていた物が動かされた気配はない。
もう時間も遅いし、自分が疲れているのだろうとAさんは思い、物置の鍵を閉めてデスクに戻って帰り支度を始めた。ひと通り片付けを終え、カバンを持って立ち去ろうとしたそのとき…ふたたび気づいてしまった。視界の端に入った物置のドアのすりガラス。そこに何か人影のようなものが張りついていて、じっとこちらを見ている。Aさんは思わずヒッと小さな悲鳴を上げて、執務室から走って退散。後日、同僚に物置のことをたずねてみると“たまに誰かいる”のだそうだ。それが何なのかは誰も知らない。
エレベーターの住人
とあるビルのエレベーターであった話。ビルは6階建てで結構古く、テナントはそこそこ埋まっているものの、なぜか20時を過ぎるとビル内にいる人はまばらであまり見かけなかった。5階にあるオフィスに勤めていた営業のBさんは、どんなに早く仕事を切り上げても21時半を過ぎてしまう。「あぁ…今日も忙しかったなあ」と、スマホをいじりながらエレベーターの下りボタンを押す。しばらくして到着したエレベーターには、珍しくひとりの男が乗っていた。黒い帽子を深くかぶって黒いロングコートを着ている。Bさんは、男に会釈をしつつ乗り込んだが、男はじっと動かない。なんだか生気もなく、人形のようで気味が悪い…と、Bさんは直感的に感じた。とはいえ、このビルに勤めているビジネスマンだろうと、ふたたびスマホをいじり始めた。ほどなくエレベーターが1階について扉が開く。先に降りたのはBさん。早歩きで、エレベーターを背にして歩き出す…が、なぜか男は降りない。不思議に思いつつも、 Bさんはそのままビルのエントランスを出た。
次の日、また同じ時間帯にBさんはエレベーターを待っていた。昨日の男のことは少し不気味だなと思いつつも、1日の業務が終わる頃にはすっかり忘れてしまっていた。しかし、到着したエレベーターには、ふたたび昨日の男が…。黒い帽子に黒いロングコート。まったく同じ装いで、そしてまったく動かない。Bさんは内心「うわっ…」と思いつつも、気を紛らわすようにスマホをいじりながら乗り込んだ。しばしの沈黙が続いたあと、エレベーターが1階に到着。気味が悪くて先に降りたBさんは、嫌な予感がしてふと後ろを振り向く。閉まりかけたエレベーターには誰もいなかった。
翌日、エレベーターで出会った黒い男の話を同僚にしてみると、そんな人物は誰も見たことはないという。少し青ざめたBさんは念のためフロアの案内板を確認。すると、6階は使われていなかった。その日からBさんは、遅くなったら階段で降りているという。
まとめ
社会人になると怖い話といえば噂話…とりわけ不倫だとか横領だとか、別の意味でおそろしい話が飛び交うようになるが、たまにはこんな王道の怖い話もどうだろうか。色々話を聞いていると、残業中に遭遇する怪奇現象は結構多いようだ。あなたも気をつけてほしい。