「仕事」は私たちにたくさんの経験を与えてくれます。社内外でのトラブルや新規事業など目標へのチャレンジ、さまざまな人間関係…さまざまな経験は自分に何を与えてくれたのでしょうか?めまぐるしい日々の中で意識することはなかなか難しいものですが、ふと立ち止まって振り返ってみれば、今の自分をつくってきた軌跡があるはず。その中でも「自分が成長したと思える瞬間」は大切な経験です。そんな自己成長を促すエピソードを3つご紹介します。
トラブル対応にめげずに向き合った
筆者がとある制作会社でクライアント対応業務をしていたとき、毎週必ずクレーマー気質なお客様の対応をしなければなりませんでした。電話で開口一番怒鳴られたり、返信が必要なメールを無視されたり、無茶な要求をされたり…毎日胃に穴が開く思いで対応する日々。でも人間は慣れてくる生き物らしく、1年くらいすると、この人は怒るのが当たり前。むしろ怒らない日はどうしたんだろうと思えてきて、相手のクセや話の展開もわかってきました。また、対応のコツをつかめようになり、対応にかける時間が短くなったことも覚えています。もちろん、頑張れたのは自分ひとりの力だけではなく、同じクライアント対応の仕事をしている仲間と支え合えて、上司にすぐ相談することができた恵まれた環境だったこともあります。成長には継続することが必要だと言われますが、本当にそうだと実感した時期でした。
部下から教えられた「信頼のあり方」
初めてメンバーを持って、チームのリーダー職についたある女性社員のお話。チームといえども、必ずしも最初から上手にまわっていくとは限りません。しかし、リーダー職を任された女性社員は、期待に応えようと張り切っている状態。そんな中、自分の思い通りに動かないメンバーに煮やし始めます。チームで成果も出せず、だんだんとヒステリックになり、メンバーとの連携は悪循環に陥いる一方…。ついには心を病んでしまい、しばらく休暇をとることに。
その後、回復して復帰に至った女性社員でしたが「どうせ同じ状態のままでしょ…」と半ば諦めたまま出社。するとチームの環境はガラリと変わっていて、メンバーひとりひとりが活発に仕事をしており、成果も上げていたのです。驚いた女性社員がメンバーに何があったのか聞いてみると、メンバーひとりひとりが彼女に言われたことをどうしたらいいのか自ら考え、行動に移していったとのこと。そこで女性社員は、相手を信頼して任せることが必要だと気づきたそうです。部下にリーダーとしてひと回り成長させてもらった温かいエピソードでした。
周りの同期の意識を変えるには、まず自分から
ある企業へ新卒入社した男性社員は、初めての社会人生活を乗り切るため、数人の同期と定期的に飲み会を開催していました。入社直後はやりたいことや目標、叶えたい夢など前向きで輝く話題ばかりだったのが、いつしか上司や先輩を含めた人間関係や仕事の体制、待遇への不満など会社の愚痴ばかりに…。最初は周りの同期に同調していたものの、内心では愚痴をこぼしているだけではどうにもならないと気づいた男性社員。そこである日、同期のひとりが言った不満に対して解決方法を提案。ほとんどの同期は他人事として他の話題に移ってしまったものの、数人の同期は彼の話に興味を持ち、どうすればいいのか一緒に考えてくれました。そこで自分から変えていくということに気づき、ついには実際に改善プランを作って上司へ提案。結果的に社内の環境整備が変わったそうです。
【まとめ】
自分の成長に欠かせない「経験」には大きく分けて二つのものがあると思います。自ら選び望んだものと、思いかけずに訪れたもの。どちらもその最中にいるときはつらかったり、むなしくなったりするかもしれません。しかし、「経験」は自分の自信や知見を支える資産になります。また、部下や同僚に話して伝えていくことで人を育てる糧にもなるのではないでしょうか。