2013年に政府が成長戦略のひとつとして「女性が輝く日本」と題し、女性の社会進出を促す政策目標を発表しました。国をあげて女性活躍が叫ばれる中、2015年8月には女性活躍推進法が成立。これからいっそう女性の活躍が期待される日本ですが、女性が安定して働ける環境や制度づくりはまだまだ追いついていないのが現状です。特に働く女性が管理職や役員クラスまで出世するというケースは少なく、男性と同じようにキャリアを積み続けるにはさまざまな壁が…。一体、女性の管理職や役員が少ないのは何故なのでしょうか?
結婚・出産によるキャリアのブランク
順風満帆にキャリアを積み上げてきたとしても、結婚・出産という大きなライフイベントはやはり女性にとって影響は大きいもの。結婚・出産を機にそれまでのライフスタイルが大きく変化することも多いのです。そのため、退職または転職によるキャリアの転換、育児休暇によるキャリアのブランクを余儀なくされるケースがほとんど。これを乗り越えて出世コースを歩み続けるには相当の努力、そして共働きや育児への理解と支援がある恵まれた環境が必要となるでしょう。また女性の起業ブームといわれる現代、自ら起業することで望むキャリアプランを実現している女性も少なくありません。もちろん、ひとつの会社でキャリアを積み続けて女性の管理職や役員になっている方もいます(ただ、未婚率も高いようです…)。
そもそも出世の道を選ばない
それまでは仕事一筋だったとしても、結婚・出産を機に価値観が変わる女性は多いようです。パートナーとのライフスタイル、親との同居、子どもとの時間…。自分が身を置く環境や生活リズムが変化していく中で、自分の中の優先順位が変わってくるのは自然なこと。それまで打ち込んでいた仕事よりも、大切なものが増えてくるのではないでしょうか。そうなれば、無理して出世コースを歩むよりも自分のライフスタイルにあった働き方を望むようになるのも当然。価値観の変化にともない、自ら出世コースを選ばない。これも働く女性にとっては、しっかりとしたキャリアプランのひとつなのでしょう。
女性活躍といえど、まだまだ男性社会
女性が主役という会社も増えてきましたが、まだまだ男性社会なのは否めません。ビジネスの世界では女性は「数字に弱い」「感情的」「体力がない」なんて、昭和の思い込みがそのままくすぶっているところもあるようす。でも、本当にそうでしょうか?数字に強いエンジニアやアナリストとして活躍している女性はたくさんいます。女性はたしかに感情的な部分もありますが、同時に高い共感能力も持ち合わせています。女性ならではの感性に注目する企業も増えており、サービスや商品の開発に結び付いていることも。男女の体力の差は、やはり体の構造上仕方ないもの。しかしブラック企業が取りざたされ、ワークライフバランスが重要視されてきているいま、男女問わず長時間労働やハードワークに耐えろという考えは社会情勢的にも淘汰されていくでしょう。まだまだ根付く男性優位になりがちな社会の偏見や思い込み。これらが今後もっと変わっていくことで、女性の活躍の場も広がるのではないでしょうか。
まとめ
世界経済フォーラムが毎年発表している各国の男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数2015」によると、日本は145か国中101位(※)。実は、日本における女性の社会進出は先進国の中でも非常に低い水準です。女性活躍推進法が成立しましたが、効果は未知数。というのも、計画が義務付けられるのは301人以上の事業主で、300人以下の事業主においては努力義務です。また、計画の努力目標が達成できるかは企業次第。達成できなくても罰則はなく、しかもこの法律は10年の有効期間が定められた時限法。10年でどう変わるのか?女性活躍のためには働く環境だけでなく、待機児童問題などさまざまな課題解決も必要でしょう。個々の枠組みではなく、これから女性がもっと働きやすくなる国づくりを期待したいところです。
(※出典:内閣府男女共同参画局)