新卒の就職活動時期になると毎年メディアを賑わす「人気企業ランキング」。なんと今年は、名だたる大手・常連企業を差し置いて、一気に上位へとランクインを果たした企業がありました。なぜその企業が、たった1年で他の企業をごぼう抜きしてランキング入りしたのか。それは、ワークライフバランスへの取り組みを強化したからに他なりません。とはいえ、よく聞くけれど実はあまり知らない「ワークライフバランス」。正しい知識をつけてトレンドに乗り遅れないよう、筆者自らワーク・ライフバランス社の主催する養成講座に参加してきました。
そもそも、「ワークライフバランス」って何?
バランスという言葉から、つい連想しがちなのが「仕事と私生活を同じくらい楽しむ」「ゆとりをもってほどほどに働く」「福利厚生のひとつ」・・・いえいえ、全然違いました。「誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができる」(内閣府/ワーク・ライフ・バランス憲章/一部抜粋)というもの。仕事では短時間で高い成果を出すことを求めることで、家庭や私生活の時間も持てるようになる。まさに、互いが好影響する「シナジー効果」のことを指すのです。
時代背景がキモ。たくさん働いても稼げない国
長い時間働いてるけれど、しっかり成果も出ている。上司も若いうちは働け!なんて言う。それ、大いなる勘違いなんです。日本は先進7か国での労働生産性は最下位。「残業トップクラスで、仕事の成果は最低クラス」という悲しい事実。なぜそうなったのか。モノが飽和し、市場が変わっているにもかかわらず、40年前の長時間働けば、物がたくさん作れる&売れるという、大量生産&大量消費時代の働き方を成功体験として引きずったままだから。短い時間で高い成果を出す、という考え方がなかなか浸透しないのです。
知っておくべき「子育て&介護のダブルケア時代到来」
追い打ちをかけるように、人口構造にも先々の危機が隠されています。2007年に団塊世代が一斉退職し、残り5~10年の間に一斉に介護軍として帰ってきます。団塊ジュニアと呼ばれるバリバリ働く35~45歳の社員は親の介護に追われる可能性大。たとえ専業主婦の奥様がいても、子育て最中のため介護と子育ての両立を余儀なくされ、メンタルダウン。やむなく男性が時短勤務や退職。というケースもよくある話。会社としては、事業の中核を担う世代が一気に抜ける可能性。今のうちに働き方を見直しをし、20代後半の世代が子育てによる退職リスクを下げないと、介護も子育てもない世代だけに仕事のしわ寄せがくる。ということになりかねません。
まとめ
講座は東京・静岡をつないで100名以上の人が参加していました。ワークや質疑応答なども含めた講座は4時間以上にもおよび、会場は白熱。小室社長が顔を出す場面もありました。今回の講座を受けて何よりもショックだったのが、日本が先進国最下位の労働生産性という事実。そして、少子高齢化によるリスク。ワークライフバランスは、企業における経営戦略であるという認識に改めようと思いました。企業側も、他人ごとにせずどんどん取り入れてほしいものです。