社内恋愛…その耽美な響きに惹かれる男女は決して少なくありません。社員のほとんどが20代でシングルばかり、なんて会社だと、それこそあちこちで恋の花が咲いていたりいなかったり。恋愛がきっかけで仕事により打ち込むようになったり(いいところを見せたい)、会社に行くのが楽しくなったり(会えるから)、身近なふたりがくっつくことで悪いことばかりではないのが社内恋愛のいいところだと思います。え?そんな機会なんて入社以来一度もない?いやいや、それはまだあなたが“社内恋愛の落とし穴”に足を踏み入れていないだけかもしれませんよ。
◎お互いを思いやる気持ちがいつの間にか…『ふたりきりの残業』
主にバリキャリワーキングウーマンの日常生活における最大の社内恋愛ポイント、それが「残業」です。しかもワサワサ同僚がいる賑やかな残業なんかじゃなく、そう、台風が来てるとかでふだんならいるはずのあのメンツ、このメンツもみんな帰ったあと。たまたま居残ったワタシとアイツ、またはワタシと先輩、あるいはワタシと上司(ま、部下でもいいんですが)。時計の針が21時を回る頃、うーんと伸びをした瞬間にバチッと目があったりして。「あ、まだいたの?」なんてわかってたくせに口にしてみたりして。どちらからともなく書類をトントン、なんて整理して帰るそぶりをみせたりして。
「まだかかるの?」「うーん、もうちょっと」「どれぐらい?」「なんで?」「いや、軽く一杯どうかなって…」もうこの時点であなたも片付ける気マンマンなはず。乾杯のあとはお互いの仕事の状況を語ったり、プライベートを探ったり。その日はそれでお別れ、が綺麗ですが、翌日オフィスで目があうとなんだかふたりだけの秘密がデキた気がして。こうなるともう、社内恋愛一歩手前間違いナシ!
◎一緒に非日常空間を味わうという経験が…『長距離の営業同行』
たまにある、なんでそんなとこにお客さんがいるのかな?ってアポ。どういう状況で同行することになったかはさておき、揺られるわけですよ長い時間、電車やバスに。過去の経験則からいうと移動に1時間半以上かかると、ふたりの間にはいろいろな情報共有がなされ、行きはともかく帰りの車中ではほとんど仕事と関係ない話で盛り上がるわけです。しかも公共交通機関とはいえ、非日常の空間にふたりきり(あ、会社関係者がほかにいないという意味です)。車窓に映るは田園風景(とは限りませんが、まあ、なかなかふだん見ない映像なわけです)。
しかもふたり分の交通費をかけ、人件費をかけ、時間をかけ、そこまでしてとったアポってだいたいそんなに大きな成果に直結しないもの。はあ、やれやれと溜息のひとつもつきたくなるのですが、なぜか心のどこかで味わっているのが「小旅行気分」。ないとは言わせませんよ(笑)。同僚からの「どうだった?」にも「や、もうね、骨折り損で…」なんて答えながらも「でもいい景色だったよね」「そうですよ」なんてふたりしかわからない共通の話題がたくさん生まれてたりして。そのままの流れで営業の振り返り、もしくは商談をどう転がすかみたいなテーマでバーへ…というシチュエーションも。社内結婚の披露宴でよく聞く話が「共通のお客様への商談がきっかけ」というのもなるほどなぁ、と頷けるわけです。
◎達成感や開放感がふたりの距離を…『大型プロジェクト打ち上げ』
打ち上げの席というのは往々にして盛り上がるもの。ましてやそのプロジェクトが長期間にわたるものだったり、バジェット(予算)が巨大なものだったり、過酷さを極めるものであればなおさらです。プロジェクトリーダーの乾杯にはじまり、あちこちで苦労話、失敗談などが笑い話となって繰り広げられます。そして宴もたけなわ、いよいよ締めの挨拶。プロジェクトマネージャーまたは総責任者の言葉に涙をこらえきれず、嗚咽が会場に響き渡る…プロジェクトの結果が良かったにせよ、そうでなかったにせよ、人は何かを成し遂げた時に無上の達成感を味わうのでしょう。
その集団の中にいるひと組の男女が恋仲に墜ちることを誰が止められましょうか(そんな大げさな話だっけ?)。数ヶ月、時には一年以上に渡る長期間に蓄積されたそれまでの疲れから開放され、もう明日からは別の道を新たに歩む。そんなシチュエーションも相まって、ついついお互いを見る目が何%か甘くなっているはず。ここがポイントです。尊敬や感謝などさまざまな感情が渦のように心に湧き上がる、プロジェクトの打ち上げこそ社内恋愛の幕開けにもっともふさわしい場といえるのではないでしょうか。
まとめ
社内恋愛については会社によって容認度合いが異なりますよね。とっても寛容な会社もあれば、一切厳禁!まかりならん!という厳しい会社もあるようです。いずれにしても、当事者として忘れちゃいけないのは周囲への気配り。恋は盲目という言葉の通り、実際にハマっているふたりが気がつかないようなところを見られていたりして、変なうわさ話が横行したり、組織の士気が下がったり。せっかくはじまった恋を上手に育てて実らせるなら、職場の仲間みんなに祝福されるようにしたいもの。それには節度ある行動や態度が必要です。今回ご紹介したシチュエーションで恋がはじまったとしたら、ぜひそのことを念頭に置いた上で社内恋愛ライフを楽しんで欲しいと思います。