男性必見!!弁護士が教える『父親の親権獲得が不利』な3つの理由
離婚するにあたり、『親権』は大きな争いの種になってしまうこともあるでしょう。
話し合いで親権が決まらなかった場合、裁判官が判断することになります。しかし、ほとんどの場合、親権者は妻(母親)と判断されるのが現状です。
実際に、2016年の司法統計では、親権獲得者の約90%が妻です。
(参考:平成28年司法統計)
たとえ妻が原因で離婚に至った場合でも、親権者は妻と判断されることもあります。しかし、なぜこんなにも夫は親権獲得に不利なのでしょうか。
他の記事では聞けない、『父親が親権獲得に不利』といわれる3つの理由を、離婚問題に詳しい弁護士の福井先生に伺いました。
理由その①別居の際の『子の連れ去り』を裁判所が事実上やむを得ないと考え、それ以降の監護状況を重視していること
福井弁護士:裁判所は、別居の際、子の連れ去りをやむを得ないと判断することが多く、むしろ親権獲得において有利になる可能性があるのです(これ自体非常に問題があると思います)。
また、連れ去り後の子供の生活状況が安定しているのであれば、『現状を継続させる』という判決を下す傾向があります。こちらの判断は、一応納得できるかと思います。
これにより昼間の時間に余裕のある妻が、別居時に子供を連れ去りやすくなります。
以降の監護(子供のそばで世話をすること)をきちんとしていれば、妻が圧倒的有利になるのは間違いありません。
これに対抗するためには、実家の親と協力して監護をするしかないと思います(夫側に戻れる実家があるのであれば)。
しかし、夫側が監護することに難しい事情があったり、家の名義が夫になっていて家を出ることができなかったりと、すぐに監護できない方もいるでしょう。
環境を整えている間に、子供を連れ去られてしまうこともあるのです。
裁判所が別居時の連れ去りをやむを得ないと考えていることが、妻側の親権獲得を有利にしていることは間違いないと思います。
これが父親の親権獲得を不利にしている、最大の要因ではないかと考えられます。
理由その②夫の監護のレベルと質
福井弁護士:親権を争う際、子供の監護状況(どちらが多く監護していたかなど)も重要なポイントです。
そのため、調停や裁判などで夫が、「同居中は自分も監護していた!」と主張するのは珍くありません。
しかし、妻の監護の質と比較すると多くの場合、どうしても見劣りしてしまうことがあります。
監護状況を判断する際、家事や育児だけでなく、PTA活動や面談など学校行事への参加状況も考慮されます。
夫がいくら『している』と言っても、家事・育児はあくまで妻の手伝いレベル。子供の組や、担任の先生の名前も知らない夫がいることも事実です。
これらのことから、夫が監護していると主張しても、『主たる監護者は妻』と認定されることが多くなります。
また、このような夫が「これからがんばります」と言っても、裁判所は容易に信じることができないでしょう。
裁判所は父親の味方でも母親の味方でもなく、子供の味方なのです。
離婚に至る以上、夫婦が問題なく生活していた時の監護レベルを保てなくなるのは、ある程度やむを得ないでしょう。裁判所もそれは織り込み済みです。
ただ、どちらが親権を取った方が、『子供にかかる負担が少ないか』という観点からすると、母親の方が負担が少ないと判断されることが多いのです。
理由その③調査官の判断
福井弁護士:話し合いで合意に至らない場合、最終的にどちらが親権者になるかを判断するのは裁判官です。
しかし、実際に子供の意見の聴取、学校への聞き取り、監護状況のチェックなどを行うのは調査官です。
調査官の意見が裁判官の最終的な判断に重大な影響を与えることが多いと言われています。
まとめ
③はともかく、①②の時点で父親はかなり厳しい立場になってしまいます。
おそらく父親が親権を取得する可能性を高めるためには、女性の社会進出の拡大や一人親に対する社会的なフォローなど、社会的な構造の変化が必要になってくるのではないかと思います。
以上が、弁護士の教える父親が親権獲得に不利な3つの理由です。父親は『父親』というだけでも不利になってしまうことは、男性にとっては悲しい現実です。
ただ、父親は絶対に親権がとれないというわけではありません。この3つのポイントを押さえた上で、弁護士に相談することをおすすめします。