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Interview 0024
独占インタビュー

「大切なのは受け取るチカラ」

2017-04-07|女子ツク!編集部女子ツク!編集部

2006年、15歳で女優デビュー後、映画、ドラマ、CMなど数々の作品に出演し、2011年大ヒットドラマ『家政婦のミタ』の長女役でブレイクした忽那汐里。4月8日(土)に公開される最新出演映画『ねこあつめの家』では、小説家の主人公を励ます熱血編集者ミチル役を演じている。

落ち着いた雰囲気の和風美人だが、彼女は生まれも育ちもオーストラリアの海外育ち。14歳のときに来日して受けた全日本国民美少女コンテストで審査員特別賞を受賞。その後、『3年B組金八先生』のドラマ出演が決まったのをきっかけに、本格的に日本に移住した。当時は学業と女優業の両立よりも、日本での学校生活に苦労していたという。

「まず一番つらかったのは、友達が全然できなかったこと。中学校2年生の3学期に転入したものだから、すでにクラスはまとまっていて…。みんなの輪の中に入ることができなくて、居場所が見つからず戸惑ってました。生まれてからずっとオーストラリアにいたとはいえ、両親は日本人だから家ではずっと日本語で話していたし、自分もクラスメイトと変わらない“日本人らしさ”を持ってるって思ってたんですけど、いざ日本で生活してみると知らないことだらけ。なんだか自分ひとり浮いているようでつらかったです」

馴染みやすい国に飛び込んだはずが、実際は“疎外感”ばかりが募っていく。抱えた不安を話せるような友人もできず、強いカルチャーショックとストレスを感じる日々。そんな時、彼女の居場所をつくってくれたのが『3年B組金八先生』のドラマ出演だった。

「金八先生はクランクイン前から撮影終了まで10ヶ月くらいの間は合宿生活をおくらされるんです。約1年弱も見知らぬ子たちと一緒に過ごすなんて、普通だったら大変ですよね(笑)。でも、当時の私にとってはそれが救いだった。初めてお芝居するっていう子たちが大半で、みんなゼロからのスタート。仲間意識も生まれて、自然と打ち解けることもできて、あの合宿にものすごく救われました」

"初めてのコト”にチャレンジすることは、戸惑うこともあるけれど、前へ進むきっかけになることもある。それは『ねこあつめの家』で演じた編集者ミチル役にも重なる。“編集”という仕事への情熱は人一倍あるものの、圧倒的に足りない自分のキャリアを思い知り葛藤するミチル。その姿に何を思ったのだろうか。

「ミチルを見てると、女優を始めたときのことを思い出すんです。お芝居が楽しくて、がむしゃらに突き進んでいた頃の自分。迷ったり、葛藤したり、傷ついたり、ああ、私にもそんな頃があったなあって(笑)。いろんな壁にぶつかって成長していくミチルの姿が、昔の自分とシンクロして自然と演じることができました」

好きな仕事だからこそ、「もっと高みにいきたい」と無我夢中に頑張る。そして挫折もする。迷いや葛藤を吹っ切るきっかけは、自分で見つけるときもあれば、ふとした瞬間に訪れることもある。今回の映画『ねこあつめの家』では、“猫”がままならない状況から自分を取り戻していくきっかけになっているという。

「この映画で、主人公の佐久本やミチルは、 “猫”たちからちょっとした“分岐点”や“きっかけ”をもらってるんです。人生においての“きっかけ”なんて、いつ、どんなかたちで訪れるかわからないんですよね。見逃してしまいそうなくらいなんてことないことから、すごく大切なことに気づくこともある。だからこそ常に受け取る姿勢を整えておくことが大事なんだって、この映画を観て改めてそう感じました。猫がどんな“きっかけ”を与えてくれたのか?それは映画を観てのお楽しみです(笑)」

「私が『金八先生』に救われたように、佐久本やミチルが“猫”に救われたように、この映画も、どこかの誰かが前に進むきっかけになってくれたらいいな」最後にそう締めくくった彼女。苦しくて、もがいているときほど、些細なことや思いもよらぬことに救われるのかもしれない。見知らぬ人との合宿に救われることもあれば、言葉を話さない“猫”たちから学ぶことだってある。でも、そのきっかけを活かせるかは自分次第。学校でも、会社でも、人と猫のあいだでも。

プロフィール[Profile] 忽那汐里 [くつなしおり]

1992年12月22日生まれ、オーストラリア出身。2007年、ドラマ『3年B組金八先生』第8シリーズでデビュー。2011年にキネマ旬報新人女優賞、2013年には第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も、映画、ドラマ、CMにて幅広く活躍。近年では、ホウ・シャオシェン監督やウェイン・ワン監督など、日本のみならず世界の巨匠の作品にも出演する国際派女優。2017年全米公開予定の映画『THE OUTSIDER (原題)』で、ヒロイン役でハリウッドデビューを果たす。

映画『ねこあつめの家』

4月8日(土)全国公開 ■監督:蔵方政俊 原作・原案:ねこあつめ(Hit-Point) 企画・脚本:永森裕二 ■出演:伊藤淳史、忽那汐里、大久保佳代子、田口トモロヲ、木村多江ほか ■上映時間:92分 ■企画・配給:AMGエンタテインメント

累計2000万ダウンロード突破の大人気アプリ『ねこあつめ』を実写映画化。脚本は映画『幼獣マメシバ』や『猫侍』を手がけた永森裕二。スランプに陥った若手小説家が、たくさんの猫たちと触れあいながら、自分を取り戻していくキャットフル・ストーリー。ちなみに、忽那汐里さんのお気に入り猫は“ちゃはちさん”役のシナモン。


<STORY>
若くして新人賞を受賞した人気小説家:佐久本(伊藤淳史)は大スランプに陥り、思うように作品が書けず、悶々とする日々を送っていた。担当編集者ミチル(忽那汐里)は熱血アドバイスで励ますが、逆に佐久本を追い詰めてしまう。ある夜、不思議な占い師から予言を受けた佐久本は、逃げるように片田舎の古民家へ移り住む。そこへ一匹の猫がふらりとやってきて…。

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