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絶望をバネにして希望に向かえば、もっと強くなれる

女性ファッション誌『CanCam』など多くのメディアでモデルとして活躍後、NHK朝の連載テレビ小説『純と愛』で女優デビューを果たした高橋メアリージュン。その後も、映画やドラマと話題作への出演が後を絶たず、今注目される女優のひとりである。順風満帆な活動の裏に潜む苦悩から、最新出演作での撮影秘話まで、その女優活動に迫る。

16歳で上京し、モデルとして活躍するかたわらで、週一回の演技レッスンには欠かさず通っていたという彼女。長年培ってきた“女優”としての基盤は、5月21日より公開される最新出演作、映画『シマウマ』でも如何なく発揮されている。主人公・ドラの彼女、彩役ではかなりハードなシーンも多い。

「初日から主演の竜星涼くんに、頭をつかまれて浴槽に突っ込まれるシーンの撮影で大変でした(笑)。前から、正面から、引いてとアングルを変えて、何度も何度も頭を突っ込まれて。役に入りこんでる竜星くんも怖いし、『水泳とかやってた?最後はちょっと長めに沈めてね』ってニコニコしながら言う監督も恐ろしいし。水泳習ってなかったし、長めってどのくらい??って(笑)」

髪の毛をつかまれ、浴槽に沈められるシーンは過激な描写が続く本作でも鬼気迫るシーンのひとつ。しかし、彼女が演じていて一番つらかったのは別のシーンにある。彩が「私には絶望なんてない。なぜなら希望を持ったことがないから」と語る場面だ。

「すごく悲しいセリフですよね。このひと言を言うのがすごく難しくて。モデルになりたい、女優になりたいって、常に希望を持って生きてきた私には、彩が絶望のフチでどんな表情をして、どんな声を出すのか、考えてもわからない。理解するには彼女になりきるしかない。希望を持てなかったのは何が原因なのか?生い立ちや経歴とか、細かい裏設定を作ってノートに書き込んで。役に入る前に読み返しながら、彩という人間を自分の中に流し込むという作業をしてました」

何事にも120%全力で前向きに挑む。そんな彼女だが、上京したばかりの時にある人から言われた“絶望的”なひと言を今でも覚えているという。

「とあるプロデューサーに『キミに女優はムリだね、女優顔じゃない』って言われたんです。まだ16歳だった私は、“女優”という希望の道をつぶされたようなその言葉に、傷つきつつも、それでも演技レッスンだけはずっと通っていました。演じることが好きだったから」

「女優顔じゃない」というそのひと言は、彼女の心の奥底にずっと突き刺さっていた。そしてモデルから女優へと仕事の幅を広げようとした瞬間に、またふつふつとその刃をむいてきた。

「24歳のとき、事務所から朝ドラのオーディションに行くように言われた時も『女優はムリだね』という言葉が頭をよぎったんでしょうね。『私、朝ドラ顔じゃないし、行っても無理なのに・・・』って一瞬ネガティブモードに陥りました。でもオーディションに入って演じたらそんな言葉吹き飛ぶくらい楽しくて。とんとん拍子に選考を通過して、最終的にヒロインは落ちてしまったけど別の役で出演させてもらうことが決まりました」

初めての撮影現場。初めての連ドラ。そこで忌まわしいひと言を塗り替える言葉と出会った。

「共演した武田鉄矢さんに『女優を続けなさい』って言ってもらえたんです。演じることがすごく楽しくて、もっとお芝居をしたい、でも今回のは多分まぐれだから、でもやっぱり女優になりたい…って葛藤している私に気づいたんですよね、きっと。優しく、力強いそのひと言で、ウジウジとした迷いはきれいになくなりました。結局、“女優”という希望の道をつぶしていたのは、誰でもない自分自身だって気づいたんです」

その瞬間、彼女は“女優”への決意を固めたという。その確かな演技力は各方面で話題を呼び、メディアからのオファーはさらに増えるようになった。女優という仕事は、色んな人生や職業を体験できて楽しい反面、ひきずれらることが怖いともいう。

「ダークな役は深く入り込めなきゃ演じられない分、その不幸や悪を現実に持ってきてしまいそうで。今回の撮影中も家に入る前に塩を撒いて、お風呂にもバスソルトを入れて。最後にボディソルトで体を洗い流して、徹底的に厄払いしてました(笑)」

彫りの深い美しい顔に抜群のスタイル。近寄りがたい印象を持つが、実際の彼女はとても腰が低く、よく笑うキュートな女性。最後に今後演じてみたい役を聞くと意外な返事が返ってきた。

「いつかコメディにもチャレンジしてみたいんです。顔立ちからか、どうしてもクールに見られがちなんだけど、実はお笑いが大好き!友達にもくだらない冗談ばかり言って呆れられてるし。関西出身なのでポテンシャルは高いはず!とか言って、すべることも多いんだけど(笑)」

いつかオファーがくるかなあって考えてるだけでワクワクすると目を輝かす彼女。楽しみながらもまっすぐと役に向かう姿には、やっぱり“希望”という言葉がとても似あっている。

1987年生まれ。2004年4月に『CanCam』の専属モデルとしてデビュー。2012年NHK連続テレビ小説『純と愛』でマリヤ役に抜擢。以降、CM、映画、ドラマと幅広く活躍する。第3弾となるドラマと映画2本の制作が発表された『闇金ウシジマくん』にも出演が決定。

映画『シマウマ』
2016年5月21日(土)公開
■監督:橋本一 原作:小幡文生 脚本:髙橋泉 ■出演:竜星涼、須賀健太、日南響子、高橋メアリージュン、ほか ■上映時間:103分 ■配給:ファントム・フィルム

累計発刊部数約150万部超、小幡文生のベストセラーコミックを実写化したクライムムービー。依頼者が抱く恨みをさまざまな方法で晴らす回収屋となった青年が、裏社会で活躍していく姿を追う。監督は、『探偵はBARにいる』などの橋本一。主演に『orange−オレンジ−』の竜星涼。

<STORY>
美人局で金を稼いでいた竜夫(竜星涼)。ある日仲間の危機を知らせるメールが届き、恋人の彩(高橋メアリージュン)と逃亡をはかろうとするが、アカ(須賀健太)という男に拉致されてしまう。彼はかつて竜夫がリンチしたヤクザに雇われた復讐代行の回収屋だった。

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