「シムシティ」というゲームをご存じだろうか?プレイヤーは市長となり、街を成長させていく都市経営シュミレーションゲームである。アメリカで1989年に第一作が発売されて以来、根強い人気があり、2014年12月にスマートフォンアプリとして「SimCity BuildIt(シムシティ ビルドイット)」がリリースされた。
ゲームの内容は、未開拓の土地に住居を建て、「シム」と呼ばれる住民たちを街に住まわせることで税金を徴収。その税金を資金として電力や水道などの各インフラを整備し、工場や商業などの産業を発展させて自分の都市の経済をまわしていく。しかし一方で公害や犯罪などの問題も起きてくるため、都市づくりには当たり前だが計画性が求められる。そんな奥深い魅力を持つシムシティ。特に面白い点は、その都市計画にプレイヤーの性格が反映されることではないだろうか。
そこで、女子ツク!編集部は運営会社であるCIN GROUP社員の中からシムシティに夢中になっている方々の都市づくりをリサーチ。各社員のキャラと都市計画の傾向をリサーチしてみた。
無計画に住居を建設、インフラ崩壊:適当エンジニア「O」の場合
シムシティは基本的に住居を建てていくと経験値を獲得、レベルアップすることができる。住居を建てると住民も増えるため、そのぶんの税収が見込める仕組みだ。しかし、だからといって無計画に住居を建てると危険なことになりかねない。なぜならば、レベルが上がるごとに水道や電気などインフラ、ホームセンターなどの店舗など新しい施設を揃えていかなければならないからだ。そして、当然ながらやっかいなのがインフラを整備するにも店舗を建てるにも、お金(黄色いコインのシムオリオン)がかかること。このシムオリオンを貯めるのが、またひと苦労なのだ。
画像はシステムエンジニアOの都市。吹き出しに注目してほしい。赤文字だらけである。これは住宅に人が住んでいない廃墟の状態を表している。簡単に言うと「おら、こんなマチいやだ」ということで、引っ越しまたは夜逃げした感じである。Oによると、無計画に住居を建てたばかりにゴミ処理場(と若干水道)の整備が金銭的に追い付かなかったとのこと。想像してみてほしい、あなたの街がこのように「ゴミが山積みで廃墟だらけ」だったらどうだろうか…ということを。
また、シムたちから税金をとれるといっても、24時間で徴収できる額は決まっている。しかも、シムたちの満足度が下がると、税金額も下がる仕組みだ。もちろん、住民の数が減ったぶんも金額に影響する。そして徴税額に対し、ゲーム開始初期のインフラ整備は結構高額で負担になりやすい。どんどん住居を建てれば一時的に都市は発展しているように見えるが、実はこれが落とし穴なのである。目の前の数字(レベル)ばかりに気を取られて、現在の利益はどのくらいなのか?マストの事業にどれくらい予算がかかるのか?どのくらい資産を確保しておくのか?全体的な見通しをせずにいると、自転車操業になるパターンに陥りやすい。
そんな自身の自転車操業状態について聞いてみると、どんなことにも適当なOいわく「課題があるのはいいことですよね!」とのこと。前向きにとらえているようだが、彼の都市は同レベルの他社員の都市と比べても、住民の数が少なく満足度も低い。どう立て直すかも質問してみたが、「まぁ、好きなところへ引っ越せばいいと思います!」だそうだ。それでいいのか、O市長。
たびたび秘書に心配されるリアリティ:イケドンマーケッター「T」の場合
シムシティには色々なキャラクターがいる。どれもアメリカナイズされた面持ちのキャラクターばかりで、ひとつ物事を成し遂げるたびに「やりましたね!市長!」と褒めてくれる。しかし、それも最初のうちだけで、都市計画がうまくいかなくなる(シムオリオンが足りなくなる)と秘書っぽい女性がたびたび予算のことに対して、釘を刺してくる。
画像はマーケティングのTの都市。T自身が農家出身ということで、農業を中心とした産業発展をコンセプトとした都市らしい。マーケッターのこだわりだろうか。が、どうだろう。秘書が張り付いた微笑みをたたえながら心配している。一体、何があったのだろうか。
実はシムシティではシムたちから徴収する税金の他にも、自分の都市でつくった加工品を貿易センターで他のプレイヤーに売ることで収入を得ることができる。しかし、加工品をつくるには商業施設を建てなければならない。そして加工品をつくるためには、資材をそろえないといけない。資材は、ゲーム開始当初に建てる工場で生産することができるが、工場でつくれるのは鉄鋼や木材など基本的な資材のみとなる。
そのため、目的の加工品によっては資材コストが予想以上にかかる場合がある。たとえば、家具屋でつくれる椅子はハンマーと釘が必要で、そのハンマーと釘をつくるにはホームセンターと資材工房で鉄鋼と木材を加工…といったように。資材を一次加工、二次加工することによってさまざまな加工品が完成するが、資材コストと工数を考えると、当初はどの商業施設を中心に発展させていくかがカギとなるだろう。
Tいわく、「農作物だけだとそんなに売れないから、今はジュースにして売っている」と言っていたが、あまり利益の方は芳しくないようだ。
にも関わらず、「流行りのナイトプールをつくってみました!」とイケイケドンドンなT。秘書の表情から伺うに、コンセプト(都市ブランディング)と現状市政との折衝はT自身の心の中でもTの都市で市政を担うシムたちの中でも難航しているのだろう。
敵に回したくないやり手市長:イケメンデザイナー「K」師の場合
かく言う筆者もシムシティを上手に治めているのかといえば、実はそうでもない。筆者には心強いメンターがいて、それがデザイナーのK師である。レベルごとの解放機能や施設を把握しているK師に、前もって何をしておけばいいのか、どの施設がオススメなのか教えていただいている(ゲームでも現実でも頭が上がらない)。
画像はデザイナーK師の都市。キレイに各区画が整備・デザインされており、先ほどのTよりレベルこそ低いものの、人口は20万人と5万ほど差をつけている。レベルアップによるインフラ影響をあらかじめ把握し、対処してきたようだ(攻略サイトなどで下調べをしたのかは怖くて聞けない)。
満足度は98%と100%まで2%足りないが、これは一画の交通渋滞によるもの。道路をアップグレード(2車線→4車線に変更)すると交通渋滞は解消するが、次のレベルの交通渋滞による不満(4車線→6車線変更へのシムの要望)が生まれるため、様子を見てあえてそうしているらしい。少しの不満を残しておくのも政治手腕においては必要なようだ。また、災害を起こす施設や貿易センター、貨物船などさまざまな機能による利益や影響を把握して稼いでいらっしゃるので、一枚も二枚も上手なことがうかがえる。
K師によるとオススメの商業施設はドーナツショップだそうで、結構高く売れる割に資材コストがそんなに大変じゃないとのこと。筆者はK師のような都市を目指して市長修行中(なれるのか?)。
おまけ:やっぱり好きにやったらいいじゃない
もうひとつ番外編でフロントエンジニアNの都市を紹介しておこう。上方の土地に注目。道路文字である。こんな使い方があったのか!とか、主旨をはき違えている!とか、賛否両論あったNの都市。やっぱり「好きにやったらいいじゃない、シムシティ」ということなのだろうか。しかし、Nいわく土地が足りないと嘆いていた(笑)ので、今後の変遷に注目したい。できれば、この道路文字を活かしたまま都市づくりを成功させてほしい。
【まとめ】
ゲームといえども、奥が深いシムシティ。一度やってみるとハマること間違いなし…か、面倒でほっぽりだすかのどちらかではないだろうか。筆者自身はまだレベルが低い(15レベルである)ため、これからさらに解禁される機能や追加された最新機能に関しては紹介できていないが、少しでもシムシティに興味を持ってもらえたら幸いである。(エレクトリックアーツの回し者ではございません)
ちなみに筆者の同期で向かいに座っている同じライターの“たくこ”(52レベル)は、「30レベル超えたらお金に困りませんよ~」と超裕福層のような表情で扇子を仰いでいた。