秋といえば「ひやおろし」!この季節を楽しみにしていた日本酒女子も多いことでしょう。「ひやおろし」とは、冬場に造られた日本酒を、春夏寝かせて熟成させて秋になった頃に出荷する商品です。ひと口に熟成、と言ってもタンクで貯蔵されたもの、瓶詰後に常温で熟成されたもの、冷蔵庫で細かな温度管理をして置いたものなど中身はさまざまです。たくさんある「ひやおろし」の中から、日本酒ライター友美おすすめの3点をご紹介します。
雪の茅舎 秘伝山廃純米吟醸 ひやおろし
東京から来たとある作家さんが、蔵をたずねた際に、雪に埋もれた農家の茅やぶき屋根が点在している蔵周辺の風景を見て「雪の茅舎」という言葉を思いつき、それがネーミングになりました。そんな秋田の雪深い地で造られた酒です。吟醸香といって、長い時間をかけて丁寧に造られたお酒独特の華やかでリラックスできる香りが特徴です。味わいもしっかりしていて、米の旨味を感じるのに全体的にはとてもキレイで整っている印象を受けるでしょう。日本酒ビギナーの方にオススメしたい一品です。
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惣誉 生もと仕込 特別純米
栃木県にある蔵で「生もと」という昔ながらの手間も体力も時間も使って醸す製法と、「兵庫県産特A地区山田錦」から造ることにこだわっているのが特徴です。最も酒造りに適していると言われる山田錦の中でも、最高峰の特Aランク。酒造りの米というのは、品種や田んぼや生産者が全く同じでも、その年の気象条件や環境が変わればガラリと変わってしまうものなんです。だから酒造りをする人たちは、米のコンディションを見極めて吸水比率や温度、工程の日数を調整して目指す酒質に近づくよう努力しています。だから、最高級山田錦を使っているからという理由だけでなく、造り手がその米を知り尽くしている、ということは信頼できるポイントのひとつです。「生もと」というどっしり重たい酒ができるイメージの製法でも、飲み疲れる感触がまったくありません。出汁やタレの効いた、少し濃い味つけの料理がある食卓で、ゆっくり楽しんで欲しい1本です。
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美丈夫 純麗たまラベル 秋上がり 純米吟醸
顔や姿の美しい立派な男性という意味の名前を冠したこのお酒は、その名の通りスラリと手足が長くて爽やか、だけど温度によって表情を変えるミステリアスな魅力的で目が離せない、まるで美男子のようです。冷酒では少し固く華やかさが前面に出てきます。冷蔵庫から出した後で少しずつ自然に温度が上がって室温に近づくと、米の旨味がグッと出てくる。お燗をつけると香りと味わいのバランスが取れて、返ってスルスルと飲みやすくなります。味わいが奥にありながらも、とても綺麗で引っかかりのないひと口、もうひと口と飲みやすい仕上がり。このお酒も他の2本に負けず劣らず食事とピッタリ!だからぜひ食中酒としてどうぞ。
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まとめ
秋といえば、脂のたっぷり乗ったさんまや香り高いきのこに銀杏。出汁のきいたあったかい汁物や鍋、茄子の揚げ浸し…という具合に次々に旬の料理が頭に浮かぶ、美味しい季節です。ビールや焼酎と違う日本酒の良さは、料理を流し込むのではなく、両者の旨味を引き立て合い、単体の時よりもずっと美味しくいただけるマリアージュという幸せがあることです。秋の夜長にゆっくりと、テレビを消して大切な人と語らう時間に、日本酒を取り入れてみてはいかがですか?