日本酒ビギナーのための!お酒なぜなに事典その2【役割について】
「最近日本酒を飲み始めました!」「日本酒を飲んでみたいけどよくわかりません」「好きだけど詳しくなくて…」という日本酒女子が増えています。わたしは「詳しくなくていいよ!プロに聞きながら美味しい日本酒をたくさん飲もう!」と思っています。でも…ほんの少し日本酒について知ることによって、より美味しく飲むことができるのかもしれません。そこで日本酒をちょっと知った気になるシリーズをお届けします。第2弾は日本酒の「蔵」についてです。
「蔵元」と「杜氏」
日本酒のわかりにくい点として、銘柄の感じが読みにくい、用語が独特で難しいということがあります。こうすればわかりやすいでしょうか?
蔵元・・・酒蔵(造り酒屋)を経営する社長、およびその家族のこと。CEO
杜氏・・・酒造りの最高技術責任者と言われているが、今風に言えば最高執行責任者。COO
蔵元はお金を出し、杜氏そして杜氏集団を雇い酒造りの全てを委ねます。蔵元がどれだけ酒造りに関与するかは、それぞれの人柄・関係性によるところが大きく蔵によってまちまちですが、役割は明確に分かれています。
杜氏集団について
その昔酒造りは、漁村や農村の季節により仕事を失う者たちの冬の大切な働き口でした。夏場は各自の仕事をし、毎年冬になると杜氏によって集結され編成をして酒蔵に住み込みで働くのです。何より杜氏の言うことは絶対、という職人の世界です。
杜氏・・・酒の設計、醸造計画、人員配置など全ての権限を持つ責任者。
頭(かしら)・・・杜氏の右腕。直接的な指揮を担います。
麹屋(こうじや)・・・麹造りの責任者。
もと屋・・・酒母、別名もと製造の責任者。
釜屋(かまや)・・・米を蒸す作業の責任者。
追廻し(おいまわし)・・・新入り。蔵の雑務全般を担う。
蔵人(くらびと)・・・杜氏がひきつれた酒造りに従事する全ての人間のこと。
杜氏以下は部門長のような人たち、そして部員という具合にこの他にも10ほどの役職があり、蔵の一通りの仕事を経験するには早くても10年かかると言われています。
そんな厳しい世界で伝説とされる能登杜氏四天王(「常きげん」農口尚彦、「満寿泉」三盃幸一、「天狗舞」中三郎、「開運」波瀬正吉(はせしょうきち) 杜氏)の話には、多くの胸を焦がされる逸話があります。日本酒に興味がある人も、ない人も「私ももっと頑張ろう!」と前向きになれること必至。ぜひチェックしてください!
まとめ
日本酒業界が下火になった今、元は別々に分かれていた蔵元と杜氏のどちらも担う蔵元杜氏が徐々に現れてきます。時代が時代なら「名家のおぼっちゃん」という立ち位置だった蔵の息子たちが、東京農大の醸造学科を卒業しきちんと勉学を積んだ上で、蔵の経営だけでなく自らの手で現場の酒造りをも担うケースが年々増え従来の常識を破っています。昔ながらの杜氏集団のシステム、そしてそれに対する新しい時流。今後はどうなっていくのか?目が離せません。