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独占インタビュー

アスリートとデザイナーを繋ぐ”架け橋”。チャコット安藤素子の営業力。

2018-03-07|女子ツク!編集部女子ツク!編集部

「われ太平洋の橋とならん」。これはかの有名な新渡戸稲造の言葉である。新渡戸は、東京大学入学面接の際「海外の文化や思想を日本へ伝え、日本の素晴らしい文化や思想は海外に伝えたい」と語った。当時では絶対にあり得ないとされていた外国人との結婚、日本のアイデンティティを英語で記した『武士道』の出版、そして国際連盟の事務次官としての活躍。新渡戸は最初の国際人として、言葉通り”太平洋の橋”となった。今日の日本が諸外国と良好な関係を築けているのも、彼のお陰かもしれない。

国と国でなくとも、異なる環境にいる二組を繋げるためには、両者の長所や意見を伝える”架け橋”が必要である。アスリートと衣装デザイナー、両者の”架け橋”として重要な役を担っているのが、チャコット株式会社の事業開発部・商事1課でセールスチーフとして活躍する安藤素子。2001年、チャコット株式会社に新卒で入社してから営業一筋でやってきた。実は、自ら人に話しかけるのが得意ではなく、営業の仕事は全く視野になかったという安藤。そんな彼女が営業を選んだきっかけ。それは、大きなバレエ団や大きな公演のスタッフとして働いていた先輩であった。自分もスタッフの一員になりたい。お客さまの舞台を衣装でサポートする仕事に憧れを抱き、営業としての道をスタートさせた。

「他の会社だったら、絶対に営業をやっていなかったと思います。演者とともに舞台を作り上げられるチャコットだから営業がやりたかったんです。営業は、自分で種を蒔いて芽が出たら刈り取るような、一連の流れを肌で感じられる仕事。自分がどう動いたかで刈り取れるか否かが決まります。ひとつひとつの行動が全て自分に返ってくる。シビアなんですけど、成果も分かりやすく、自分を振り返ることもできるので楽しいですね」

今年で営業18年目。なかなかデザインが決まらない、お客さまの意向と沿わない、見積もりが合わない…本当に本番を迎えられるのかと不安になる現場も多かった。そんな彼女が、特に印象的だったと話す出来事がある。

「チャコットに入社してまだ1、2年くらいのとき。バレエ衣装の新規開拓を任されていました。まだ新人だった私に、地元の大きなバレエ教室の先生が”全幕”の舞台衣装を任せてくださったことがあって。普通だったら経験が浅い新人に、2時間ほどかけて上演する舞台の衣装をすべて任せるなんてことはできないと思うんです。『この子に頑張ってもらおう』そう思ってもらえたのを感じて、すごく嬉しかった。その想いに絶対応えたい、と思いました。実際にすべての衣装を担当した全幕バレエを観たときは感動して。自分が携わった舞台は、ただ観に行く舞台と観え方も違いましたね」

お客さまが営業を育ててくれる、と安藤は言う。営業の仕事は人対人。スムーズに話が進むときもあれば、交渉が難航することもある。これまでも様々な商談の場面を乗り越え、その度に成長してきた。

「お客さまが想像している以上の衣装をつくるために、お客さまとデザイナーの意見に差異が出た場合はデザイナーの意見を採用できるよう交渉を進めることもあります。というのも、チャコットにデザインのプロがいる価値を発揮しないと意味がないと思うからです。お客さまにさらに喜んでもらって、感動してもらえるかどうかは、私の営業力にもかかっていると思います」

実は彼女、1児のママ。子育てをしながら国体オープニングセレモニーで舵取り役としても活躍し続けている。昨年は、ダンスクラブや音楽隊など総勢2000人ほどの大規模なセレモニーの衣装を担当した。

「国体オープニングセレモニーは人数が多いぶん大変でした。というのも、規模が大きくなればなるほど、小さなミスが大きなミスに繋がってしまうんです。準備期間中は、間違いなく進められているかずっと張り詰めていました。当然、間に合わないなんてことは絶対にあってはいけないことで、スピード感も求められていましたからね」

本番を迎えるまで、安藤は常に緊張感の中にいた。乗り越えられたのは、共に働く同僚の存在が大きかったと彼女は言う。

「国体オープニングセレモニーのときもそうですが、普段の営業活動も周囲に支えてもらっていると感じています。チャコットの営業先は、放課後にアポが入るクラブチームや学校が中心。子育てをしながら時短で働いている私にとって、どうしても時間の問題が出てきてしまいます。営業は数字が命ということもあり、本当に続けていけるのかな…と悩んだ時期もありました。しかし、周りの営業メンバーが私のできないことをサポートしてくれたり、励ましの声をかけてくれる中で”自分が今できることをやれば良いんだ”とわかったんです。それからは少し気持ちが楽になりました」

何事も前向きに取り組む彼女は、1年前、既存会員営業を中心としていた外商課から、幅広い業務を担当する商事課へ異動。現在では、自身の経験を生かし、“チャコットのオールラウンダー ”として営業活動をしている。


「今までは、子育てをしながら営業職を続けるのは難しかったと思うんです。産後は営業をあきらめて別の部署への異動を希望する人も多くて。私は、経験を生かした次の働き方がしたいなと思っていました。だって、ずっとやってきたキャリアを離れるのはもったいないじゃないですか。これからは、女性が営業として活躍することが今よりもっと当たり前になってくると思います。出産を経て職場復帰してきたメンバーが安心して戻れる環境を私がつくりたいです」

そのためには、実際に営業として復職した自分が結果を出さなければいけない、と安藤は語る。女性として、妻として、母として活躍する彼女。アスリートとデザイナーを繋ぐだけでなく、産後営業職に復帰する女性と社会の架け橋になるに違いない。

プロフィール[Profile] 安藤素子 [あんどうもとこ]

1978年10月10日生まれ。
事業開発部 商事課 セールスチーフ。観劇が趣味。ブロードウェイまでミュージカルを観に行ったこともある。2001年チャコット株式会社に新卒で入社。1年目より、バレエやフィットネス・アートスポーツを担当。出産を経て、チアバトンや国体など式典での衣装を一挙に手がける。

『バレエ・ローズ・イン・ラブストーリーズ』

【日時】2018年3月26日(月)開場17:45 開演18:30
【場所】新宿文化センター
【値段】S席8500円(税込み)/A席6500円(税込み)/B席5000円(税込み)
【公式サイト】「バレエ・ローズ・イン・ラブストーリーズ」http://www.chacott-jp.com/j/special/ticket/balletrose/index.html

「眠れる森の美女」「ロミオとジュリエット」「白鳥の湖」「ジゼル」「ドン・キホーテ」が一つのバレエ作品として楽しめる特別公演。バラをモチーフに人気作品の名シーンを、豪華スターダンサーが紡ぐ。バレエファンはもちろん、バレエを初めて観る人も楽しめる作品となっている。一夜限りの公演なので、お見逃しなく。

photographer:小野千明

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