女子ツク!people [株式会社リクルートキャリア 広報部:鈴木 いづみ]記事一覧
Interview 0023
独占インタビュー

「人の熱量を企業の内側から外側へ届ける」

2017-03-15|女子ツク!編集部女子ツク!編集部

2017年2月7日。“現場感“のある取り組みに着目する“グッド・アクション2016”が開催された。人の想いが原点となり、チームや職場に好影響を与える取り組みに光を当てるアワードだ。このプロジェクトをゼロから立ち上げたのが鈴木いづみ。まずは動き出す背景を語ってくれた。


「もともとヒューマン・リソース(HR)業界って、表彰式みたいなものがけっこうあったんですよ。でも、大きな予算を動かして、成果を掴むために全員でさあやるぞ!というような雰囲気の形式ばったものが多くて。私はもっと小さな取り組みにも光を当ててみるのも面白いんじゃないかと思ったんですね。『この職場で、こんな動きがあったらコミュニケーションが活性化するんじゃないか』『このチームはこうすれば効率が上がるんじゃないか』というぐらいの規模の。自分もできるかもしれないと思えることで、人って勇気づけられる。そんな取り組みを表彰するアワードをつくろうと考えていました」


小さな取り組みにフォーカスを当てる。そのようなことを考えるようになったのは、前職のPR会社での勤務経験から。


「私自身、前の会社では毎日のように夜遅くまで働いていて、いつも同期と会社の愚痴を言っていたんですね。周りも『ずっとこの会社にはいるつもりはない』といった雰囲気で…。私はなんとかこの現状を打破できないかと思い、同期の4人で社内改善プロジェクトを立ち上げることに。社長にプレゼンをして、予算をつけてもらえるようになりました。そこから、会社全額負担の朝ごはん会を開いてコミュニケーションを活性化させたり、中途社員の定着率を上げるためにその社員のキャリアや今の会社で成し遂げたいことを共有する場を設けたりしましたね。そして、この取り組みをつくったことで、何よりも変われたのは自分自身でした。愚痴を言わなくなって、仕事に対しても前向きになれたんです」

この経験もあって “グッド・アクション” のコンセプトは「一人ひとりがイキイキと働くための、職場の取り組みに光をあてるプロジェクト」に決まった。彼女は、応募があった企業の現場の意見を大切にするために、書類選考を通過したものは全て直接訪問して、取り組み内容について取材を重ねた。


「1回目は約20社ぐらいですかね。東京だけじゃなく地方にも行きました。訪問すると取み組みから人の熱量が伝わってきます。みなさん本当に熱い想いがあるから聞いているうちに自然と白熱してくるんですよね。大阪に行った時なんかは、話した時間は4時間以上。いつの間にか東京に戻る最終の新幹線に乗るギリギリの時間になっていました。慌てていると訪問先の担当者の方が自分の車を出してくれて、そのまま車内でも続きの話をしてたんです(笑)。帰りの新幹線の中で、この人たちの熱量がなければ、絶対この取り組みは生まれなかったんだよなって改めて感じました」


一人ひとりの取り組みに対する熱い想いを聞き、最後に表彰式に向けて取り組み内容を審査員に伝えていく。ここで自分が考えもしないことを指摘され、大きな挫折をする。


「審査員の方々から『これは聞いてきた?』『ここはどうなってるの?』と質問攻めにあって…。『分かりません。いや、それも聞いてません…』と答えられないことばかり。その時に審査員から『選考する側も凄く負担がかかるんだよ』と言われて気づきました。私は訪問審査で聞いたことを右から左へ流していただけ。上司はどう思っているのか、会社の人事はどう思っているのかと審査の観点がまるでなかったんです。取り組みに対する人の想いを聞けたつもりでいたから、あの時はけっこう辛くって。体重も1年で8キロ落ちて、周りからは『よく泣いてたよね』と心配されていました」

しかし鈴木は「自分が言いだしたんだから、自分でやり遂げるしかない」と決意を固める。簡単に弱音を吐いて逃げ出さず、反省してすぐ行動に移す。そんな姿が周りの人の鈴木への印象を変える。


「ここは聞けているけど、ここは聞けていないっていう状態は、つまり全ての取り組みを公平に審査できないってことです。そうなっては絶対いけないと思い、審査員の方々から指摘を受けた直後、聞けてないポイントを洗い出し、再度企業に電話で質問。また、第二回目からは書類審査で必要なポイント、訪問審査で必要なポイントを抜き出して、審査会の時には完璧に答えられるようになりました。そんな私の行動を職場の人が見ていて『審査員が乗り移ったようですね』と言ってもらえるまでになりました(笑)」


全くのゼロから“グッド・アクション“を実現させるまでに至ったのは、審査内容・選考基準などを一緒に考えてくれた審査員の方々がいたおかげと鈴木は語る。


「第一回目は審査基準に関して指摘を受けて、再提案する時にはアキレス美知子さん(SAPジャパン株式会社 常務執行役員人事本部長)が『他の審査員の方々にプレゼンが通るように私が練習台になってあげるね』と支えてくれて。守島基博先生(一橋大学大学院商学研究科教授)も金井壽宏先生(神戸大学大学院経営学研究科教授)も無知な私に対して、ずっと呆れることなく話を聞いてくれていたんです。表彰式が終わった時には、『“グッド・アクション”が唯一予定調和じゃない式だよね』『鈴木さんの動きがグッド・アクションだね』という言葉をいただけて、本当に嬉しかったですね」


彼女の魅力は、きっと関わる人が助けたくなったり、ほっとけなくなったりするところにある。悩んで、もがいて、それでも前を向く姿にみんなが心打たれる。来年のグッド・アクションも、取り組みの発起人や審査員など多くの人が彼女の姿に惹き付けられるだろう。

プロフィール[Profile] 鈴木 いづみ [すずきいづみ]

1987年1月15日生まれ、静岡県浜松市出身。
大学を卒業して、PR会社に就職。その経験が買われ、2014年5月にリクルートキャリアに転職。契約社員としてスタートしたが、わずか2ヶ月ほどで“グッド・アクション”のプロジェクトを立ち上げ、その実績が評価され正社員となる。

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